大気汚染

記事紹介 身の回りの化学物質

発がんリスクは10%程度下げることが可能

本記事のトピックスです

・発がんリスクは10%程度下げることが可能

・それぞれの原因物質とその影響

 

この記事を書いた人

企業の研究員、大学助教を経て独立。空気中の様々な化学物質を誰でも簡単に測定可能なサンプラーを開発した空気博士。シックハウス相談を中心に、衣食住にまつわる生活環境の化学物質と環境問題の情報を発信しています。

本記事の対象者

・シックハウスが気になる人

・身の回りの化学物質に気を付けている人

・健康でいたい人

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・今回は欧州環境局の報告書の概要より、身の回りの発がん性物質との対策について取り上げます。

癌の原因の10%??

癌の原因のうちの10%は身の回りの環境や労働環境中の汚染物質が原因であると欧州環境局より報告がありました。ヨーロッパでは年間300万人の新規癌患者が、1.3万人が癌で亡くなっているそうです。経済的損失は 1780億 ユーロ(約244兆円)にと高額です。

・大気汚染
・副流煙
・ラドン
・紫外線
・アスベスト
・特定の化学物質
・その他の汚染物質


これらは空気を介して体に入るものですね(紫外線を除く)

対策をすればリスクを減らすことができる

Cutting pollution through the EU’s Zero Pollution Action Plan and the Chemical Strategy for Sustainability as well as strong implementation of other existing EU policies would go a long way to reduce cancer cases and deaths. This would be an effective investment in our citizen’s well-being.

Hans Bruyninckx, EEA Executive Director

ハンス事務局長の原文の引用です。直訳しますと、EUのゼロ汚染行動計画と持続可能性のための化学戦略による汚染の削減、および他の既存のEU政策の強力な実施は、癌の症例と死亡を減らすのに大いに役立ちます。 これは、市民の福祉への効果的な投資となるでしょう。

上記汚染物質が身の回りにあることは恐ろしいですが、裏を返せば対策することで新規癌患者と癌による死者を年間10%程度の減らすことができるという事務局長の意見はポジティブです。以下、各項目の対策方法を解説します。

大気汚染(室内外の空気)

1%の全種類の発癌、2%の全種類の癌による死亡に関連。肺がんのみに注目すると死因の9%にのぼる。近年の研究ではPM2.5などの粒子物質の長期間の曝露や主要な空気汚染物質と白血病の間に相関がある。

対策:住宅内の空気中の化学物質の削減、特に新築は空気検査を行い発がん性を有する物質が存在しないことを確認しましょう。PM2.5は沿道沿いや工事現場などで高くなる傾向にありますので、マスクを着用する。PM2.5 の濃度が高い時は外に出ない。

ラドン・紫外線 

室内空気中のラドンは2%の全種類の癌、10%の肺がんの発がんに関連。紫外線は 4%の全種類の癌に関連。特に皮膚がんの深刻な状態のメラノーマ患者はここ十年で急増している。

対策:日焼け対策の実施。日傘をさす、帽子を被る、日焼け止めを塗る

副流煙

副流煙は非喫煙者の全種類の癌の発がん率を16%向上させる。ヨーロッパでは31%の人が家や職場や公共の場で副流煙に曝露されている。

対策:喫煙者には近づかない。禁煙、分煙の徹底。

労働環境中の発がん物質

労働環境には鉛、ヒ素、クロム、アクリルアミド、カドミウム、農薬、ビスフェノールA、PFAS lead, arsenic, chromium, cadmium, , pesticides, Bisphenol A and per- and polyfluorinated alkyl substances (PFAS).

対策:法律で作業環境測定が実施されていますで、上記化学物質を扱う職場では作業環境測定の結果を確認し、濃度低減の対策がされているかなどを調べる。

アスベスト

中皮腫、肺がん、咽頭がん、卵巣がんの原因。EUでは2005年、日本では2006年に使用を禁止。 発症前に14~40年潜伏期間があり、職業性肺がんの 55-88%の原因

対策:古い建物を解体する際は、アスベストの含有がないかを確認する。アスベストの取扱い経験がある人は、健康診断などを行い定期的に検査を行う。

 

いずれもヨーロッパにおけるデータですが、日本にもある程度は当てはまると思われます。

まとめ

・身の回りの環境には発がんの原因の約10%以上のリスクが潜んでいる

・これらのリスクを回避すれば、発がんのリスクを10%下げることが可能

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参照元:https://www.eea.europa.eu/highlights/pollution-and-cancer

 

  • この記事を書いた人

くうきメン

空気中の様々な化学物質を誰でも簡単に測定可能なサンプラーを開発した空気博士。企業→大学助教を経て独立。シックハウス相談を中心に、衣食住にまつわる生活環境の化学物質と環境問題の情報を発信しています。

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