本記事のトピックスです
・VOCの概念
・VOCの定義
・身の回りのVOC
この記事を書いた人
企業の研究員、大学助教を経て独立。空気中の様々な化学物質を誰でも簡単に測定可能なサンプラーを開発した空気博士。シックハウス相談を中心に、衣食住にまつわる生活環境の化学物質と環境問題の情報を発信しています。
本記事の対象者
・身の回りの化学物質に興味がある人
・建築中、リフォーム中の人
・シックハウスが気になる人
・家づくりに関わっている人
・VOCを一言で説明すると「気体で存在しやすい化学物質」のことです。
VOCの概念
シックハウスや大気汚染問題とVOCはセットと言っていいくらいよく出てくる言葉です。このVOCは揮発性有機化合物のことをさします。揮発性有機化化合物は英語で「Volatile Organic Compouds」です。それぞれの単語の頭文字をとってVOCです。揮発性有機化合物とは揮発性のある有機化合物のことで、気体として存在しやすいという意味です。物質は,固体・液体・気体のいずれかの状態で存在します。室内環境において気体の状態をとりやすい物質がVOCだと思ってください。ちなみに有機化合物とは炭素と水素からなる化学物質の総称です。
VOCは気体になりやすい→鼻の中に入りやすい→香りや匂いの原因物質と連想できますね。
VOCの定義
WHO(世界保健機構)による定義
世界保健機構(WHO)欧州地域事務局 は,有機化合物の沸点※を指標にVOCsを定義しています。※沸点とは液体から気体になる温度です。水は100℃が沸点でやかんでお湯を沸かす場合水の温度が100℃を超えると激しく沸騰し始めます。
VOCとは沸点が50-100 ~ 240-260 ℃の化合物を指します。
放っておくと次第にガス化していきます。香水や芳香剤がイメージしやすいかと思います。例)アロマオイルやシンナーなど。
VOCよりも沸点の高い化合物は準揮発性有機化合物(SVOC)よばれます。
こちらはガスよりも固体で存在するほうが多く、ハウスダストなどのホコリにくっついています。ハウスダストもシックハウス症候群の原因の一つです。ホコリ事態にも影響がありますが、ホコリに付着した化学物質が影響を及ぼしています。これらの化学物質には可塑剤といったプラスチックを柔らかくする薬剤や白蟻対策に使われる農薬などが含まれます。
身の周りのVOC
VOCは聞きなれない言葉ですが、私たちは非常に多くのVOCに囲まれて生活しています。芳香剤、香水、アロマオイル、香り付き柔軟剤など気体として存在する匂いの原因物質がすべてVOCです。これらの生活用品をはじめ、花の香、森林などの自然由来のもの、自動車や工場の排気ガスなどの人工由来のものからも大量のVOCが発生しています。自然由来のVOCは生成、分解することで循環していますが、人工的な発生源から大量にVOCが排出されるとそのバランスが崩れてしまいます。その代表例が光化学スモッグです。大量のVOCと窒素酸化物などの大気汚染物質と太陽光反応すると光化学スモッグが発生しやすいです。また住宅内で通常よりも高い濃度のVOCに晒されるとシックハウス症候群が発生します。こういった健康に害を及ぼすイメージがある一方で、少量であればアロマテラピーのように、気分を高揚またはリラックスさせたり、森林浴を楽しんだりと良い効果ももたらしています。決してVOCすべてが悪いわけではなく、適切な濃度に保つことが重要です。
まとめ
VOCとは
・VOCとは気体で存在する化学物質の総称
・身の回りには大量のVOCが存在するが、適切な濃度に保つことが重要
※お知らせ:
現在分析受注は外部サイト:ココナラで行っています。お問い合わせフォームからのご連絡もお待ちしております。
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