本記事の結論:
・現在の室内空気検査では室内濃度指針値の定められた6物質のみを調べている。
・上記の化学物質の室内濃度指針値の超過はほとんどない。
・指針値物質の代替物質によるシックハウスが発生が増加。
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本記事のトピックスです
・シックハウス検査とは
・室内濃度指針値対象物質の代替物質によるシックハウスの発生
この記事を書いた人
企業の研究員、大学助教を経て独立。空気中の様々な化学物質を誰でも簡単に測定可能なサンプラーを開発した空気博士。シックハウス相談を中心に、衣食住にまつわる生活環境の化学物質と環境問題の情報を発信しています。
本記事の対象者
・新築・リフォームを計画中の人
・建築中、リフォーム中の人
・シックハウスが気になる人
・家づくりに関わっている人
・今回のテーマは「シックハウス検査の現状と課題です」
シックハウス検査で調べている化学物質は6種類のみ
シックハウスが疑われた場合,空気検査を行うのが一般的です。この時、調べている6種類の化学物資物質は以下です。
物質名 | |
---|---|
① | ホルムアルデヒド |
② | トルエン |
③ | エチルベンゼン |
④ | キシレン |
⑤ | スチレン |
⑥ | p-ジクロロベンゼン |
これらの物質は室内空気中から頻繁に検出されやすい物質ですが,厚生労働省の室内濃度指針値を超過することは滅多にありません。
室内空気汚染の実態調査報告で実証
厚生労働省ではシックハウス問題に関する検討会が開かれております。平成24年から25年に行った調査では,指針値を超過した住宅はホルムアルデヒドとパラジクロロベンゼンで約111軒中の超過率は4%程度,その他の上記指針値物質の超過はないといった状況でした。
参考:第17回検討会資料1_の平成24年度夏期室内空気汚染調査結果・新築住宅調査結果や第18回検討会資料3_平成25年度夏期室内空気全国実態調査および無作為抽出による首都圏実態調査結果の概要より
指針値物質の代替物質でシックハウスが発生
現在の室内空気中から指針値物質の検出は少なくなりましたが,シックハウス問題が解決したわけではありません。指針値物質の代替物質が使用されることにより,これまでと異なる化学物質が原因のシックハウスが発生しています。
東京都に寄せられたシックハウスの相談より
第12回シックハウス問題に関する検討会,資料2-1では指針値の代替物質によるシックハウス事例がいくつか報告されています。
こういった事例では,シックハウス検査を行っても問題はない(指針値6物質は検出されない)が,それらによく似た性質の化学物質が検出されており、それらがシックハウスの原因であった可能性が高いことが示されています。
上記6物質よりも、それ以外の化学物質を調査することが効果的です。
対策方法
シックハウスの心配している人はTVOC検査をおススメします。
現在のシックハウス検査は原因調査や解決よりも、上記6物質が検出されないことを形式的に確認しているに過ぎません。
TVOC検査では空気の汚れ具合と空気中に存在する主な化学物質を調べることができるので、シックハウスの問題解決につながる有効な検査方法です。
まとめ
シックハウス検査の現状と課題
・現在の室内空気検査では室内濃度指針値の定められた6物質のみを調べている。
・上記の化学物質の室内濃度指針値の超過はほとんどない。
・指針値物質の代替物質によるシックハウスが発生している。
以上より現在のシックハウス検査では,室内の汚染状況の把握が十分とはいえない状況になっています。
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