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TVOC(トータルVOC)測定を行う理由②シックハウス検査では成分を重視

くうきメン
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室内空気中の様々な化学物質の影響を調査する上でTVOC(トータルブイオーシー)測定はとても有効な方法です。ただし、数値だけで健康影響などを知ることはできません。

TVOCは空気の汚れ具合の目安

トータルVOC(揮発性有機化合物)は、室内空気の汚染度を示す指標として用いられることが一般的です。空気中の揮発性有機化合物(VOC)を足し合せて濃度として示したのがTVOC濃度ということになります。TVOC濃度が高いほど多くの揮発性有機化合物が含まれます。ただし、その分シックハウス症候群や化学物質過敏症の発祥の可能性が高まるというわけではないのです。

暫定目標値 400µg/m3

厚生労働省は、暫定的な目標値として400マイクログラム/立方メートルを採用しています。これは1m×1m×1mの空気の空間に400µgの化学物質が含まれていることを意味しています。これは具体的にどのような意味を持つのでしょうか。汚れとしては多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか。という疑問が湧きますが、この値は「普通の空気では、おおよそこのくらいの化学物質が含まれている」という空気の汚れ具合の目安として採用されています。

暫定目標値とシックハウスに相関はない

暫定目標値が健康影響と直接相関しているわけではありません。そのため、トータルVOCの濃度だけではなく、その成分も非常に重要です。例えば、排気ガスとして400 µg/m3という空間と森林の400 µg/m3とでは空気の質が全く異なることが想像できると思います。

新築時のTVOC濃度は数千µg/m3程度

TVOCの暫定目標値は新築やリフォーム後の濃度との比較を意図したものではありません。新築の住宅においては、この400マイクログラム/立方メートルという値を軽く超え、おおよそ数千μg/m3となることが通常です。新築特有の匂いという表現からも伺えるように、新築やリフォーム後のTVOC濃度は非常に高くなることが知られています。

TVOCの成分に注目

トータルVOCを構成している具体的な物質の定性分析を行い、それによってどのような化学物質が含まれているのかを確認することが重要です。やはり接着剤成分や塗料成分の割合が多い空間は、快適性が低く、TVOC濃度がシックハウス症候群の発生の可能性が高くなります。

建築材料や建築方法によって、空気中の成分は大きく異なることが知られています。例えば、木造建築や新築材を使用した住宅、鉄骨コンクリート構造の住宅など、それぞれで空気の成分は異なってきます。この点に関して、次回以降詳しく取り上げる予定ですが、主な成分としては接着剤、塗料、および建築材そのものから放出される物質が考えられます。

TVOC濃度が高い場合の対策

TVOC濃度が10000 µg/m3を超える場合、成分の種類に関わらず、空気の汚染度が高いと考えられます。その場合でも入居前の養生期間(住まずに放置して化学物質を発生させる期間)を設けたり、積極的な換気を行い室内のTVOC濃度を下げながら暮らすという方法で対策することが出来ます。濃度を把握していないとこういった対策が取れませんので、新築、リフォーム後のTVOC測定を推奨しています。

まとめ

トータルVOC(TVOC)は室内空気の汚染度を示す指標として使用され、厚生労働省の暫定目標値は400マイクログラム/立方メートルとされています。新築やリフォーム後の住宅ではTVOC濃度が通常よりも高くなることが知られており、その成分や濃度によって健康への影響が考えられるため、定期的な測定と対策が推奨されています。

 

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くうきメン

空気中の様々な化学物質を誰でも簡単に測定可能なサンプラーを開発した空気博士。企業→大学助教を経て独立。シックハウス相談を中心に、衣食住にまつわる生活環境の化学物質と環境問題の情報を発信しています。

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