こんな方はPFAS検査を検討してみてください
- 自宅の水道水が基準値以下か確認したい
- 井戸水・地下水のPFAS汚染が気になっている
- 浄水器の使用前後でPFAS濃度を比較したい
PFAS検査で大切なのは、最初から測定項目を増やすことではありません。「測定したあと、何を判断したいのか」を先に決めることです。
ここから、水道水と井戸水に分けながら、検査項目の選び方を分かりやすく説明します。
まず知っておきたいPFOS・PFOAの基準値
PFASは、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の総称です。多くの種類がありますが、日本の水道水について水質基準が定められているのがPFOSとPFOAです。
2026年4月1日から、PFOS・PFOAは水道法に基づく水質基準項目となり、基準値はPFOSとPFOAの合計で50ng/L以下(0.00005mg/L以下)です。
まず覚えておきたいポイント
「日本の水質基準を満たしているか」を確認することが目的なら、まずPFOSとPFOAの2項目を測定し、その合計値を確認します。
なお、基準値を超えた水を一度飲んだから、直ちに健康影響が生じるという意味ではありません。継続的な飲用が気になる場合は、自治体や保健所などに相談しながら対応を検討します。
水道水と井戸水では、確認することが異なります
同じPFAS検査でも、水道水と井戸水では確認の順番が異なります。知りたい方からお読みいただけます。
水道水を調べたい場合
水道水の場合は、まず自治体や水道事業者が公表しているPFOS・PFOAの検査結果を確認します。
ただし、公表されている値が、そのまま自宅の蛇口から出る水の測定値とは限りません。浄水場や給水区域を代表する地点で測定されている場合があるためです。
次のような場合は、自宅などで個別に測定する意味があります。
- 自宅の蛇口のPFOS・PFOA濃度を直接確認したい
- 貯水槽を経由した水を使用している
- 浄水器の使用前後を比較したい
- 施設や店舗などで利用者への説明資料が必要
井戸水・地下水を調べたい場合
井戸水の場合は、実際に使用している井戸を個別に測定することが重要です。
周辺地域の地下水調査でPFASが検出されていても、その結果から自宅の井戸の濃度をそのまま判断することはできません。
地下水は、井戸の深さ、水脈、地質、周辺の土地利用、採水時期などによって濃度が異なる可能性があります。
井戸水を測る前に確認しておきたいこと
- 飲料、調理、農業、製造など、何に使用している水か
- 井戸の深さや採水地点
- 周辺でPFASが検出された情報があるか
- 基準値との比較だけでよいか、汚染状況まで調べたいか
特に井戸水を飲料や調理に使用している場合は、目的に合った測定項目と採水方法を決めたうえで分析します。
PFASは何項目測ればよい?
PFAS分析は、大きく2項目・3項目・多項目の3つに分けて考えると分かりやすくなります。
| 分析内容 | 向いている目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| PFOS・PFOA 2項目 | 日本の水質基準や地下水の指針値と比較したい | その他のPFASの有無までは分からない |
| PFOS・PFOA・PFHxS 3項目 | PFHxSも含めて確認したい | PFHxSをPFOS・PFOAの50ng/Lに加算して判断するものではない |
| 多項目PFAS分析 | 汚染状況や組成、発生源候補、事業上の品質管理を詳しく調べたい | すべてのPFASに国内の水質基準値があるわけではない |
基準値を確認したいなら2項目
「自宅の水や井戸水が、日本の水質基準値以下か確認したい」という目的であれば、PFOS・PFOAの2項目分析が基本です。
PFOSとPFOAそれぞれの濃度を確認し、両者の合計が50ng/L以下かを見ます。
PFHxSまで確認したいなら3項目
PFHxSもPFASの一種です。PFOS・PFOAに加えてPFHxSも把握したい場合は、3項目分析を選択します。
ただし、PFHxSが検出されても、その数値をPFOS・PFOAの50ng/Lという水質基準値に加算して評価するものではありません。
汚染の全体像を調べたいなら多項目分析
工場、空港、消火設備、廃棄物処理施設などとの関連を検討したい場合や、原水・工程水・排水の状態を詳しく把握したい場合は、多項目分析を検討します。
PFASの種類を多く測定することで、汚染の特徴を比較するための情報は増えます。ただし、1回の分析結果だけで汚染源を断定することはできません。
発生源まで検討する場合は、上流・下流、複数井戸、原水・処理水、時系列などを比較する測定計画が必要です。
PFAS検査では採水方法も重要です
PFASは非常に低い濃度を測定するため、採水容器や採水方法によって分析結果に影響が生じる可能性があります。
そのため、家庭にあるペットボトルや空き瓶へ自己判断で採取するのではなく、分析機関が指定または提供する採水容器を使用してください。
採水前に決めておく5つのこと
- 採水地点:蛇口、井戸元、貯水槽後、浄水器前後など
- 水の用途:飲料、調理、農業、製造、排水など
- 分析目的:基準値との比較、処理効果、汚染調査など
- 測定項目:2項目、3項目、多項目のどれにするか
- 比較方法:1地点だけか、複数地点や処理前後を比較するか
浄水器の効果を確認したい場合は、使用前と使用後の水を同じ日に採取すると比較しやすくなります。
井戸水の場合は、井戸の深さ、採水日時、天候、直近の使用状況なども記録しておくと、分析結果を読み解く際の参考になります。
検査結果を見るときの3つの注意点
「検出」と「基準値超過」は別です
PFOSやPFOAが検出されたからといって、それだけで水質基準値を超えているとは限りません。
日本の水質基準と比較する場合は、PFOSとPFOAの合計が50ng/L以下かを確認します。
「不検出」は完全なゼロとは限りません
分析結果の「不検出」は、対象物質が分析方法の検出下限または定量下限を下回ったことを意味します。
そのため、「PFASが完全に存在しない」という意味ではありません。
多項目分析なら必ず判断しやすくなるとは限りません
測定するPFASを増やせば情報量は増えますが、すべてのPFASについて国内の水質基準値と直接比較できるわけではありません。
そのため、「分析後に何を判断したいのか」から測定項目を決めることが重要です。
PFAS検査でよくある失敗
自治体の結果を自宅の測定値だと考える
自治体などが公表している結果は重要な参考情報ですが、自宅の蛇口や個別の井戸を直接測定した結果とは限りません。
基準値を確認したいのに多項目分析から始める
多くの物質を測定すると情報量は増えますが、基準値が設定されていない物質については結果の解釈が難しくなる場合があります。
日本の水質基準との比較が目的であれば、まずPFOS・PFOAの2項目から考えると分かりやすくなります。
家庭にある容器で採水する
PFAS分析では、容器や器具の材質、洗浄状態などが測定結果へ影響する可能性があります。分析機関が指定する容器と採水手順を使用します。
浄水器通過後の水だけを測る
浄水器の処理効果を確認したい場合は、処理後だけでなく処理前の水も測定する必要があります。
原水と浄水後の水を同じ日に採取すると比較しやすくなります。
CTM研究コンサルのPFAS分析
CTM研究コンサルでは、PFAS分析について、検査前の目的整理から測定項目の選定、採水方法、分析結果の読み方までご相談いただけます。
現在ご案内している主な分析プランは次のとおりです。
- PFOS・PFOA 2項目分析:60,000円(税別)
- PFOS・PFOA・PFHxS 3項目分析:65,000円(税別)
- PFAS 30項目分析:要見積
採水には分析用の専用容器を使用します。試料の種類や測定項目によって必要な条件が異なるため、分析前に目的を確認したうえでご案内します。
「井戸水を飲んでいる」「周辺の地下水調査でPFASが検出された」「浄水器の効果を確認したい」など、測定項目がまだ決まっていない段階でもご相談いただけます。
よくある質問
水道水も自分で検査した方がよいですか?
まず自治体や水道事業者が公表している検査結果を確認してください。そのうえで、自宅の蛇口の値を知りたい、貯水槽の影響を確認したい、浄水器の前後を比較したいといった個別の目的がある場合に測定を検討します。
井戸水はPFOS・PFOAの2項目だけでよいですか?
国内の指針値との比較が目的であれば、まずPFOS・PFOAの2項目が基本です。
周辺に想定される発生源がある場合や、汚染の特徴まで調べたい場合は、PFHxSを加えた3項目分析や多項目分析を検討します。
50ng/Lを超えたら、すぐに健康被害が起こりますか?
基準値を超えたことが、直ちに健康影響を意味するわけではありません。ただし、継続して飲用している場合などは、自治体や保健所などへ相談し、必要に応じて再検査や代替水の確保を検討してください。
浄水器のPFAS除去効果も調べられますか?
原水と浄水器通過後の水を同じ条件で採取すれば、PFAS濃度を比較できます。
ただし、1回の測定だけで長期間の性能を保証することはできないため、フィルターの使用期間なども含めて結果を判断します。
まとめ
PFAS水質検査では、測定する物質が多ければよいというものではありません。日本の水質基準との比較が目的であれば、まずPFOS・PFOAの2項目から考えるのが分かりやすい方法です。
一方、井戸水の汚染状況を詳しく調べたい場合や、発生源の検討、事業上の品質管理を目的とする場合は、PFHxSを加えた3項目分析や多項目分析が適している可能性があります。迷った場合は、採水前に「何を知りたいのか」を整理してご相談ください。
参考資料
- 環境省「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」等について
- 環境省「PFASに関するよくある質問」
- 環境省「令和6年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果」
- 国立医薬品食品衛生研究所「PFOS・PFOA・PFHxS検査マニュアル」
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