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活動報告 身の回りの化学物質

2023年室内環境学会学術大会から見た最新の室内環境事情

くうきメン
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12月のはじめに室内環境学会が沖縄で開催されました。今日は、学会で得た知識と私たちの最新の研究成果について、皆さんと共有したいと思います。

愛媛大学との共同研究

室内空気中の化学物質を誰でも簡単に正確に測定する「パッシブサンプラーエアみる」についての研究を愛媛大学と共同で口頭発表しました。このサンプラーのすごいところは、室内空気に存在する様々な化学物質をまとめて評価できるところです。一般的なシックハウス検査で測定しているのわずか6種類程度です。エアみるを用いて近年の調査研究を参考に室内からよく検出される約100種類の化学物質を精確に調べるように検討を行った結果を発表しました。

新築住宅の空気測定結果

私が会長を務めるJAHRAの新築住宅の空気測定の結果のポスター発表を行いました。こちらの発表では木造建築特有の室内空気の特徴をパッシブサンプラーエアみるを使いTVOCという空気中の化学物質量と検出された主な成分をまとめて特徴を考察しました。

 

いずれの発表も多くの人に関心をもってもらい、来年度の活動のモチベーションアップにつながりました。

 

くうきメン
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その他学会で得られた情報をピックアップして3つお伝えします。

 

シックハウス規制の最新情報

現在の室内中化学物質はトルエンなどの疎水性の化学物質からグリコールエーテルやグリコールエステルといった水溶性の溶剤に代替されています。 現在、日本で室内濃度指針値への追加が審議されているのが2‐エチル‐1‐ヘキサノール、テキサノール、TXIB、アクリル酸エチルヘキシルなどで、いずれも水溶性塗料やエマルジョン塗料といったものです。

シックハウス問題に関する検討会ではこれらの物質の追加検討や近年の室内空気の実態調査の結果について年1回程度のペースで報告があるようです。

PFAS関連の最新研究

PFASは少なくとも4700種類あると言われております。 その数の多さから把握が難しいのですが、 近年では分子量の大きいPFASから小さなものへの代替傾向であるという話を耳にします。分子量が小さくなると空気中からも検出されることになる為、揮発性のPFAS測定の先進的な研究の取り組みなど報告されました。今後、室内空気のPFAS濃度は?といったニュースを耳にすることもあるかもしれません。

身近な住宅内の汚染物質

開放型燃焼器具(石油ストーブや石油ファンヒーター)の空気汚染はひどく、TVOC濃度が数千µg/m3に急増し、室内からノナンやデカンなどの炭化水素類やノナナールやデカナールなどのアルデヒド類が多く検出されるそうです。

住宅建材のうちビニールクロスやクッションフロアなどに多く含まれるフタル酸エステル類は肺炎や喘息発生に関与すると考えられています。

これらの話題は決して新しい話ではありませんが、身近な生活用品が室内を汚染してることを知るうえで重要ですし、研究が続けられています。

今後私たちがより健康に暮らしていくために必要な情報ですので、詳細情報について今後も見ていきたいと思います。

 

まとめ

室内環境の健康を保つためには、これらの研究成果を理解し活用することが重要です。

 

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くうきメン

空気中の様々な化学物質を誰でも簡単に測定可能なサンプラーを開発した空気博士。企業→大学助教を経て独立。シックハウス相談を中心に、衣食住にまつわる生活環境の化学物質と環境問題の情報を発信しています。

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